マリアあとがき

この役は

本当にもう

精神構造を理解するのに

四苦八苦しました(笑)。


決して

ただのお人よしでは済ませられない

何か

人間臭さのある

そんな聖母

だけど

マリアを聖母たらしめる

イエスという子供は欠落してるんです。


そう

彼女には多くの欠落がある。

だからなのか

彼女の実像をどこに置くかで

人物像がガラリと変わってしまう。

そんな

「幅」のある人物


私は

彼女の物語を読んで

「幸福な王子様」オスカー・ワイルド

を思いました。


人を悼むあまり

身を亡ぼすほどの「献身」をしてしまう

宝石を施された

金ぴかの王子様の像。



動けない王子さまは

ツバメに

宝石や

金箔を

困ってる人に届けさせる。

ツバメは

南の国へと渡らなければならないのに

王子様が気になって

その「献身」の手となり足となり

最終的には

南下しそびれて

凍え死んでしまう。

持っているものをすべて与えてしまった

みすぼらしくなった王子様は

そのみすぼらしさ故に

捨てられてしまう。


そんなお話。


私はマリアはずっと王子様だと思って稽古してましたが

劇場に入ってから

マリアはツバメの方なんじゃないかな?と思い始めました。

王子さまは夫のマルの方だったのでは?と。


ツバメの「献身」の仕方は

王子様のルビーの目をえぐり

金の皮膚をはがして

困ってる人に届けるというものなんです。


「献身」とは?

「愛」とは?


私は利己的な人間を演じることが多いので(笑)

なかなか無いテーマにドキドキしながら

挑みました。


「今までにない役どころでしたね」

という人もいれば

「美千子さんそのまんまだったね」

という人も。


どう受け取ってもらえたのか

私には想像もつきません(笑)。



ふと最近、いろいろな役が手元に来るなぁと

それが全く違う女性たちなので

面白いなぁと

思う今日この頃です。

佐乃 美千子 Sano Michiko

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