「1984」その①

ジョージ・オーウェル

こんなに素敵な人だとは思っていませんでした。

「動物農場」を大学生のときに読んだきりで、

「動物農場」も、すごい作品はすごい作品だったけど

「1984」は

人間というものをすごく感じさせてくれる。



絶望的な世界に身を置きながら

とうの昔に追いやられてしまった

「人間らしく生きる」

ということを

求める姿のなんと美しいことだろう。



ガラスの珊瑚の文鎮

十二進法の時計

ダブルベッド

古道具屋の二階の部屋

それから

ジュリア。


ジュリアに誘われて

森に入り込んでゆくシーンは

白黒の無機的な世界から

フルカラーの有機的な世界へ

どんどん足を踏み入れて

もう、戻れないほどの開花を迎えてしまう。

そんな様子が

美しく描かれている。


木漏れ日に

半分のチョコレート

つぐみの歌声

小さな花の群生


主人公の人間らしさが

スパークしてしまうんだ。


人間らしい

欲求や

欲望を持つこと

それ自体がいかに素晴らしく

また

恵まれているのか


それを教えてくれる。


私にとっては

そんな作品でした。

佐乃 美千子 Sano Michiko

佐乃 美千子 Sano Michiko

お仕事の依頼はこちら→pankekinokai@gmail.com 次回出演情報 2025年9月8日 「クミの五月」劇団印象-indian elephant-リーディング公演 座・高円寺2